皆様、こんにちは。塗り絵研究家の白河みなみです。
静寂に包まれた寺社仏閣を巡る旅から一転、今回私たちが足を踏み入れるのは、京都で最も活気にあふれる繁華街、四条河原町エリアです。
今回は、鴨川のほとりに建つ日本最古の劇場**「南座(みなみざ)」と、400年の歴史を持つ市場「錦市場(にしきいちば)」**をセットでご紹介します。
この2つのスポットに共通するのは、圧倒的な「色の多さ」と「エネルギー」です。 南座の豪華絢爛な装飾や提灯の灯り、そして錦市場のアーケードに広がる食材の彩り。塗り絵本の中でも、特に多くの色鉛筆を使って楽しんでいただきたい、極彩色のページとなっています。
「ハレ」の舞台である劇場と、人々の胃袋を支える「ケ」の市場。京都の文化の両輪とも言えるこの場所を、色彩という視点から紐解いていきましょう。
歌舞伎発祥の地! 日本最古の劇場「南座」の威容
四条大橋の東詰、鴨川のほとりに堂々とそびえ立つのが「南座」です。 その歴史は非常に古く、なんと400年以上前にさかのぼります。江戸時代初期、出雲の阿国(いずものおくに)がこの鴨川の河原で「かぶき踊り」を披露したことが歌舞伎の起源とされており、まさに歌舞伎発祥の地に建つ劇場なのです。
現在の建物は、1929年(昭和4年)に建てられたもので、桃山風の意匠を取り入れた豪華な外観が特徴です。国の登録有形文化財にも指定されており、2018年には大規模な耐震改修工事を終えて新開場しました。
南座は「建築美」を楽しむ最高のモチーフです。 まず注目していただきたいのは、正面に掲げられた**「まねき」**と呼ばれる看板です。毎年年末の「吉例顔見世興行(きちれいかおみせこうぎょう)」の際には、役者の名前が独特の勘亭流(かんていりゅう)という書体で書かれた看板がずらりと掲げられます。
塗り絵では、この看板と屋ねのコントラストを丁寧に塗ることで、劇場の賑わいを表現できます。また、夜の風景として塗るのもおすすめです。ライトアップされた建物と、ぼんやりと光る提灯の赤色を重ねることで、夜の祇園界隈の妖艶な雰囲気が浮かび上がります。細部まで描き込まれた線画を通して、日本建築の粋を感じ取ってみてください。
400年の歴史! 「京の台所」錦市場の極彩色
南座から四条通を西へ歩き、少し路地に入ると、そこには全く別の熱気が渦巻いています。**「錦市場(にしきいちば)」**は、東西約390メートルにわたるアーケード商店街で、約130軒もの店が軒を連ねています。
「京の台所」と称されるこの市場には、京野菜、漬物、豆腐、鮮魚、乾物など、京都の食文化を支えるあらゆる食材が揃います。近年では食べ歩きグルメの聖地としても人気を集めていますが、その歴史は古く、1615年に幕府から魚問屋の称号を許されたことに始まるとされ、こちらも400年以上の歴史を誇ります。
塗り絵本における錦市場のページは、まさに「色の洪水」です。 まず目を引くのが、頭上を覆うアーケードの屋根です。赤・黄・緑の3色で構成されたステンドグラスのような屋根は、市場内に独特の暖かい光を落とします。この光の効果を意識しながら、食材たちを塗ってみてください。
店先に並ぶ瑞々しい京野菜の緑や黄金色。たくさんの色を使うことで、画面からは美味しそうな匂いまで漂ってきそうです。雑多な雰囲気を楽しむように、あえて強めの色を使ってポップに仕上げてみるのも面白いでしょう。
奇想の画家「伊藤若冲」と錦市場の絆
実は、錦市場は江戸時代の天才絵師・**伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)**ゆかりの地でもあります。
若冲は、錦市場の青物問屋「布屋」の長男として生まれました。彼は絵を描くことに没頭しましたが、同時に市場の営業認可が停止されそうになった際には、町年寄として奔走し、市場の危機を救ったという逸話も残っています。
現在、錦市場は「若冲の生誕地」として、彼の作品を商店街のシンボルとして掲げています。店舗のシャッターやタペストリーには若冲の絵が描かれており、店が閉まった後の夜の市場は、まるで「ナイトミュージアム」のような美術館に変貌します。
アクセスと散策のポイント
南座と錦市場へのアクセス情報をご紹介します。
南座へは、京阪電鉄「祇園四条駅」の6番出口を出てすぐ目の前です。阪急電鉄「京都河原町駅」からも徒歩約3分と、非常にアクセスが良い場所にあります。
一方、錦市場へは、地下鉄「四条駅」や阪急「烏丸駅」から徒歩約3分、または阪急「京都河原町駅」から徒歩約4分で到着します。 南座と錦市場は徒歩で移動できる距離にありますので、午前中に市場で食材や色を見て回り、午後に南座の建物を眺めるといったコースもおすすめです。
錦市場は非常に混雑するため、ゆっくりと見て回りたい方は、比較的空いている午前中の早い時間帯が狙い目です。ただし、食べ歩きの際は「歩きながら食べる」のではなく、お店のイートインスペースを利用するなど、マナーを守って楽しみましょう。
編集後記:京都の「動」のエネルギーを塗る
静かな寺院の塗り絵も心安らぎますが、南座や錦市場のような、人々の活気や歴史の積み重ねが感じられる場所を塗る作業は、元気が湧いてくるような楽しさがあります。
京都の街を彩る原色のエネルギーを、ぜひ指先から感じ取ってください。
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